COLUMN No.2 ーノシロウ を灯すー  

 

陽が長くなってきた。

外の色が、夜の深い青色へ移り変わり始める頃、小さなキャンドルに灯りをともす。

 

少し欠けたからといって使わなくなっていた陶器のコップをホルダーにした。

 

まだ外は明るい。

コップの中で灯ったキャンドルのあかりと共に、夜の始まりを静かに待つ。

太陽から月へバトンタッチするつかの間の時間を繋いでくれるキャンドルの灯りは、温かく柔らかい。

 

今日一日出会った人の顔や声を思い返す。

 

ちゃんと笑って話せたかな。

感謝を伝えられたかな。

あんなこと言ってごめんなさい。

今日はすごく頑張った。

 

たくさん、たくさん、思い出す。

 

 

青色に染まる夕方の30分。

一枚溶けては、次の一枚がまた溶けて。

コップの中の火が階段を降りて行くようにロウが溶けていく。

ふーっと心地よい風が吹いて、火は消えた。

 

今日も一日、ご苦労様でした。

 

さて、晩ご飯は何を食べようかな。

今日はテレビなんだったかな。

お風呂に入って、本を読もう。

 

 

夜はこれから。

もうひとつ、灯そうかな。

 

 

 

 

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